2017年11月29日水曜日

寡占株主に該当するとして第二次納税義務が認められた事例(大邱高等法院2017年9月29日判決)

 韓国では公平性の観点から株式会社の発行株式の過半数を所有するものであって、経営者またはその親族に該当する者を第二次納税義務者としています。日本でも同族会社の株主を第二次納税義務者としていること類似しています。
 株式会社は資本と経営を分離することに特徴があり、株主は出資義務以外に会社の債務につき責任を負わないことが原則です。しかし、株式会社のほとんどは経営者が株式を所有していることから特定の株主に第二次納税義務を負わせることは相当であるといえます。
 本件は、発行株式のうち経営者とその妻、未成年者の子2人に20%ずつ所有させ、それぞれは過半数を所有していませんが、経営者と親族で株式の過半数を所有しているものとして経営者の妻を第二次納税義務者としました。
 以下は、判決の一部抜粋です。

 国税基本法第39条第2号は「株主1名とその特殊関係人のうち大統領令で定める者であってそれらの所有株式の合計が該当法人の発行株主総数の100分の50を超え、それに関する権利を実質的に行使する者ら」を第2次納税義務を負う寡占株主と定めている。「寡占株主」は必ずしも現実的に株主権を行使した実績がなければならないものではなく、納税義務成立日現在に所有している株式に関して株主権を行使することができる地位にあれば足り、課税官庁は株主名簿や株式移動状況明細書または法人登記簿謄本などの資料によって寡占株主に該当する株式の所有事実を証明できる。但し、上の資料に照らして一見株主に見える場合でも、実は「株主名義を盗用されたり、実質の所有株の名義でない借名で登記された」などの事情がある場合には、単にその名義のみで株主に該当するとはいえないが、これは株主でないことを主張するその名義者が立証しなければならない。
 甲第3、4,5号証、乙第2,3号証の各記載と弁論全体の趣旨を総合すると、被告が2014年12月1日に訴外会社に対して2012年第2期付加価値税2億2946万1190ウォンを決定、告知したが、訴外会社が納期限である2015年2月13日までにこれを納付しなかった事実、上の付加価値税の納付義務成立日である2012年12月31日当時に訴外会社の株主名簿や株式移動状況明細書にはD、原告(Dの妻)、F(Dの子)及びG(Dの子)が発行株式総数(4万5000株)の各20%である9000株(合計3万6000株)を所有していることが記載されていた事実、原告が訴外会社の法人登記簿にその成立時から職権廃業時まで続けて監事として記載されていた事実が認められる。
 上の認定事実によれば、原告、D、FおよびG(以下、「原告ら」という)は、旧国税基本法施行令第18条の2第1号、第20条第2項に規定する「親族関係」にある者として国税基本法第39条第2号の「特殊関係人のうち大統領令で定める者」に該当し、原告らが本件処分の課税期間の間に保有していた訴外会社の株式(以下、「本件株式」という)が発行株式総数の100分の50を超えているので、特別な事情がない限り原告らは訴外会社の寡占株主に該当するといえる。

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