2017年11月14日火曜日

警察官の到着が遅れて殺害された場合の遺族補償金と国家賠償金の関係(大法院2017年11月9日)

 通報があったにもかかわらず警察官が別の事件と勘違いして到着が遅れたため、被害者が殺害されてしまったという事件で、遺族の方は遺族補償金を申請した後、国家賠償を請求しましたが、遺族補償金を控除した額を賠償額として認めたものです。
 被害者の死亡に警察官の行為が寄与していた場合、加害者と国または地方自治体団体が共同不法行為として不真正連帯責任を負うことになり、遺族補償金の支給は国家賠償金の一部を弁済したものという法律構成になるのでしょう。
 以下は、判決の一部抜粋です。



 犯罪被害者保護法による犯罪被害救助金のうち同法第17条第2項の遺族救助金は人の生命または身体を害する罪に該当する行為によって死亡した被害者またはその遺族に対する損失補償を目的としているので、上の犯罪行為によって損失または損害を填補するために支給される点で不法行為による消極的損害の賠償と同じ種類の金員とみるのが妥当である。 
 救助対象の犯罪被害を受けた救助被害者が死亡した場合、死亡した救助被害者の遺族が国家賠償法によって国家または地方自治団体から死亡した救助被害者の消極的損害に対する損害賠償金を支払われたのであれば地区審議会はその遺族に同じ種類の給与である遺族救助金からその相当額を控除した残額のみを支給すればよく、その遺族が地区審議会から犯罪被害者保護法所定の遺族救助金を支払われたのであれば国家または地方自治団体はその遺族に死亡した救助被害者の消極的損害額から遺族が支払われた遺族救助金相当額を控除した残額のみを支給すればよいとするのが妥当である。

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