2017年11月13日月曜日

「現代○○」という商標は現代グループの商標を侵害するか(特許法院2017年11月2日判決)

 本件は、葬儀業者が「現代総合相助」という商標を登録しようとしたところ、現代(ヒュンダイ)グループから登録無効の訴えを起こされたものです。
 韓国の市場の特殊性からか、例えば、現代グループが商標の指定商品、指定役務に登録していない業種だからといって、「現代○○」と社名を付けたら現代グループの系列会社と勘違いする人がいるというのは当然なので、指定商品、指定役務に登録していない業種では「現代」という社名を当然につけることができるというわけではないとされています。三菱鉛筆も韓国だったら商標登録ができなかったかもしれません。
 結論としては、現代グループのような大企業は葬儀業に進出することはあり得ないので、葬儀業が「現代○○」という社名を付けても現代グループの系列会社と勘違いされることはないので、商標登録は有効であると判断しました。
 以下は、判例の要旨です。

 
 1つの企業が複数の産業分野にわたって異種商品を生産販売することが一般化されている現代の産業構造下では著名商標と類似した商標を著名商標の指定商品でない他の商品に使用したとしても需要者としては著名商標権者やそれと特殊関係にある者によってその商品が生産販売されるものと認識して商品の出所や営業に関する誤認、混同を引き起こす憂慮があるので、指定商品が異なるという理由だけで類似商標の登録、使用を許容するのではなく、商品の性質、営業の形態その他取引事情などに照らして類似商標を使用する商品または営業が著名商標の著名度とその指定商品または営業がもつ名声に便乗して需要者を誘因しうる程度に相互の競業関係ないし経済的類縁関係があるといいがたい場合には商品出所や営業の誤認、混同を引き起こす憂慮がないので類似商品の登録、使用を禁止するものではない。
 先使用標章「現代(ヒュンダイ)」は、汎現代(ヒュンダイ)グループ系列社が先登録商標/サービス標と一緒に使用してきた標章であって、本件登録サービス標の出願時である2004年10月23日以前に著名性を獲得して一般需要者や取引相手の間で顕著に認識されていた著名な標章に該当する。
 さらに、本件登録サービス標「現代総合相助」は、「現代」と慶弔事関連サービス業の業種を意味する「総合相助」が結合した標章であって、先使用標章である「現代」を含みながら「現代」が要部と認識される標章なので、その構成やモティーフ、観念などで先使用標章を連想させるなど先使用標章やその標章においての連関性が認定されるものではある。
 しかし、下のような理由で原告の本件登録サービス標はその指定サービス業である葬儀業に使用されたとしても先使用標章である「現代」が使用される商品や営業と混同を引き起こす念慮があるとはいいがたい。
 汎現代グループは、自動車、船舶、建設、デパート、金融など国内産業の基礎および中心となる分野の業種と関連した事業のみを営為しており、本件登録サービス標の出願当時はもちろん現在まで本件登録サービス標の指定サービスである「葬儀業」などと関連した事業が営為していない。
 汎現代グループが今後「葬儀業」などの相助業に進出する予定という点は認定する証拠がない。かえって、本件登録サービス標の指定サービス業である「葬儀業」などの相助業は企業イメージを重視する大企業でその取扱いないし進出をはばかる業種とみる余地がある点、他の大企業でも」葬儀業」など相助業に進出した例がない点などに照らし、汎現代グループが将来「葬儀業」など相助業に進出する可能性が希薄であるといえる。
 本件登録サービス標は、その指定サービスである「葬儀業」など相助業に使用されたとしても先使用標章である「現代」が使用されるサービス業や営業と混同を引き起こす念慮があるとはいえないので、旧商標法第7条第1項第10号に該当しない。

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