2017年11月7日火曜日

親は子の留学費用を支払う義務がないとした判例(大法院2017年8月25日決定)

 アメリカに留学している成年の子が扶養義務者である父母に対して留学費用の支払いを求めた事件です。留学費用を支払えと親を訴えるのもどうかと思いますが、大法院は以下のように判断して子の請求を認めませんでした。
 民法第826条第1項に規定する未成年の子の養育、教育などを含んだ夫婦間の相互扶養義務は婚姻関係の本質的な義務であって、扶養される者の生活を扶養義務者の生活と同じ程度の保障して夫婦共同生活の維持を可能にすることを内容とする第1次の扶養義務であり、一方、父母が成年の子に対して直系血族として民法第974条第1号、第975条によって負担する扶養義務は扶養義務者が自分の社会的地位に相応する生活をしながら生活に余裕があることを前提にして扶養される者が自力または勤労によって生活を維持できない場合に限ってその生活を支援することを内容とする第2次扶養義務である。したがって、成年の子は要扶養状態、すなわち客観的にみて生活費の需要が自分の自力または勤労によって充当することができない困窮した状態である場合に限って、父母を相手にその父母が扶養できる限度内で生活扶助として生活必要費に該当する扶養料を請求できるだけである。
 更に、このような扶養料は扶養される者の通常的な生活に必要な費用の範囲に限定されるのが原則であるので、特別な事情がない限り通常的な生活必要費といいがたい留学費用の充当のために成年の子が父母を相手に扶養料を請求することはできない。
 結論はそうなんだろうなと思いますが、親が子に留学費用を支出した場合は扶養義務の範囲であるとして相続税や贈与税が賦課されないことと併せて考えると、「親が留学費用を支払うのは扶養義務の範囲であるが、子から請求することはできない」ということになるのでしょうか。

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