2018年4月18日水曜日

支払利息が取得税の課税標準に含まれるか(大法院2018年3月29日判決)

 本件は、不動産を取得する時期に借り入れた資金に関する支払利息が当該不動産の取得税を計算するための課税標準に含まれるかが問題となった事件で、原審は支払利息が当然に課税標準に含まれるとしましたが、大法院は、借入資金が不動産の取得のために使われたのかどうかについて課税官庁に証明責任があるが、十分な証明がされていないとして原審に差し戻しました。
 法律の勉強をしていても、税法は範囲が広いだけでなく、通達などによって運用されているところが多く、弁護士には難しい分野です。しかし、詳細には知らなくても大まかなことは知っておかなければ、依頼者に過大な税金が賦課されたり、税金がかかることを知らないまま放置して加算税が賦課されたりする危険もあるので、勉強しつづけることは大切だと思います。
 以下は、判示の一部抜粋です。

 旧地方税法第111条第5項及び第8項の委任による旧地方税法施行令第82条の2第1項本文は「法第111条第5項第1号から第4号までの規定による取得価格は取得の時期を基準としてそれ以前に該当物件を取得するために取引相手方または第三者から支払われたり、支払わなければならない直接費用と次の各号の一に該当する間接費用の合計額とする」と規定し、第1号で間接費用の一つとして「建設資金に充当した借入金の利息またはこれと類似する金融費用」を挙げている。
 このように旧地方税法が建設資金に充当した借入金の利息を取得税の課税標準に含めるように規定しているのは、それが取得のために間接的に所要された金額であることを根拠とする。そうであれば、ある資産を建設などによって取得するのに使用する目的で直接借り入れた資金の場合、その支払利息は取得に所要される費用として取得税の課税標準に含まれるが、そのほかの目的で借り入れた資金の支払利息は、納税義務者が資本化して取得価格に適正に反映するなどの特別な事情がない限り、その借り入れた資金が課税物件の取得のために間接的に所要されて実質的に投資されたものと見ることができて初めて取得税の課税標準に合算することができるといえる。また、課税要件事実の存在および課税標準に対する証明責任は課税官庁にあるので、そのほかの目的で借り入れた資金の支払利息が課税物件の取得のために所要されたという点に関しても原則として課税官庁がその証明責任を負担するといわなければならない。
 原審判決の理由と記録によると、次のような事実が分かる。
 原告は本件不動産を買い入れ、その頃、被告にその代金299,250,005,675ウォンを取得価格として取得税を申告、納付した。
 一方、原告は上の期間に発生したいくつかの借入金に対する支払利息の合計14,088,712,259ウォン(以下「本件支払利息」という)を費用勘定として会計処理した。
 被告は、2010年12月14日、原告に本件支払利息及び処分信託報酬料などを課税標準に含めなければならないという理由で取得税485,861,270ウォン、農漁村特別税36,941,510ウォン、登録税447,519,260ウォン、地方教育税89,502,600ウォン(それぞれ加算税を含む)をそれぞれ賦課した(そのうち本件支払利息と関連した部分を「本件処分」という)。
 上のような事実関係を先に見た法理に照らしてみると、原告は本件支払利息を費用勘定として処理をしただけで、これを資本化して本件不動産の取得価格に反映したことがなく、被告が提出した証拠によっても原告が借り入れた資金らが本件不動産の所得に使用する目的で直接借り入れたものであるとか、本件不動産の取得のために間接的に所要されて実質的に投資されたという点が十分に証明されたとはいい難い。そうすると、原審としては、原告が借り入れた資金らの性格やその使用内訳などを追加で審理して、本件支払利息を本件不動産の取得税の課税標準に合算することができるかや、それによる算定方式の適法かどうかを判断しなければならない。
 それにもかかわらず、原審はこれに関して審理しないまま、その判示のような理由のみで非課税の慣習が消滅した以降の支払利息は企業会計基準の算定方式に従って本件不動産の取得税の課税標準に全て含めることができるとし、本件処分のうち2006年1月23日以降に発生した支払利息の部分は適法であると判断した。
 このような原審に判断には取得税の課税標準である取得価格に含まれる間接資金に充当した借入金の利息およびその証明責任に関する法理を誤解し、判決に影響を及ぼす違法がある。この点を指摘する趣旨の上告理由の主張は理由がある。

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