2018年4月9日月曜日

在留資格の変更が認められなかった事例(蔚山地方法院2018年3月29日判決)

 本件は、外国人労働者が事業場の変更をする場合は労働契約の終了日から1ヶ月以内に申請しなければなりませんが、労働契約の終了日が当初の労働契約の終了日なのか、更新した労働契約の終了日なのかが争いとなった事件です。
 裁判所は、使用者が労働契約を更新するときに届出をしなかったので、労働契約は当初の終了日に終了しているとし、在留資格の変更を認めませんでした。
 労働契約自体は労働者と使用者の合意によって決まるので、労働契約を両者が合意して更新した場合は、労働契約の終了日は更新した労働契約の終了日になると考えるべきだと思います。
 しかし、在留資格の変更は在留資格を有するものだけに認められるもので、労働契約の終了日から1ヶ月以内に事業場の変更を申請するようになっているのは、労働契約が終了した在留資格の基礎となる事実が消滅しても、それから1ヶ月以内であれば変更を認めるという趣旨だと考えられます。そうすると、使用者が労働契約の更新を届け出なかったときは、外国人労働者の在留資格が消滅するので、在留資格の変更が認められないという結論自体は妥当であると考えます。
 外国人が就労ビザを取るのは使用者にとっても手続きが面倒ですが、使用者のミスによって働きたいのに働けなくなるというのはかわいそうだと思いました。
 以下は、判示の一部抜粋です。

 原告は、ウズベキスタン国籍で2015年9月9日に大韓民国に非専門就業(E-9)の在留資格で入国し、株式会社○○エンジニアリングで労働者として勤務した。
 原告は、2015年12月16日に株式会社○○エンジニアリングの労働契約が合意解除されて終了すると、2016年1月4日に被告に事業場変更申請をした。2016年2月4日に株式会社○○ENGと労働契約期間を2016年2月4日から2017年1月1日までと定めて労働契約を締結した(以下「本件労働契約」という)。
 株式会社○○ENGは被告に外国人労働者の雇用などに関する法律(以下「外国人雇用法」という)に従って原告に関する外国人労働者雇用許可を申請し、被告は2016年2月4日に上のような内容で雇用許可をした。
 原告は、2017年1月1日ごろ株式会社○○ENGと本件労働契約を更新し、同年6月まで労働を提供した。
 原告は、2017年8月11日に被告に「事業場の雇用許可取消」による事業場変更申請をしたが、被告は2017年9月18日に原告が使用者と労働契約を終了した日から1ヶ月以内に事業場変更申請をしなかったという理由で上の申請に対して不許処分(以下「本件処分」という)をした。
 原告は、株式会社○○ENGが被告に本件労働契約の更新による外国人労働者雇用許可期間の延長許可を受けなかったので在留資格が取り消された事実を2017年7月18日ごろになって初めて知り、その直後である2017年7月26日ごろ、事業場変更申請をして1ヶ月の期間を遵守したので本件処分は違法であると主張する。
 まず、本件労働契約の終了日に関してみる。乙第4号証の記載に弁論全体の趣旨を総合してみると、株式会社○○ENGは本件労働契約の更新に関して被告に許可を受けるなどの手続を履行しなかった事実が認められるところ、本件労働契約は外国人雇用法第9条第3項、同法施行令第17条第2項によって当初の雇用許可を受けた2017年1月1日の経過によって終了したとみるのが妥当である。
 そして、先に見たところのように、原告は2017年8月11日に被告に事業場変更申請をしたが、これは本件労働契約の終了日から1ヶ月が経過していたことが歴数上明白なので、原告の事業場変更申請を許可しなかった被告の本件処分は適法といえる。

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