2018年3月30日金曜日

北朝鮮のツイッターをフォローすると国家保安法違反になるか(大法院2018年1月25日判決)

 本件は北朝鮮のツイッターアカウントをフォローしたことが国家保安法第7条(讃揚、鼓舞等)に該当するか争われた事件です。
 結論としては、頒布や頒布の幇助、所持には当たらないとして一部無罪となりましたが、反国家団体に同調している部分は認められて有罪となりました。
 人は生まれる国を選択することができませんが、自分が選択できないことのせいで自分の行動が制限されることがあってはならないというのが基本的人権の根本思想だと考えています。生まれる国は選択することはできないとしても、生活する国は選択することができるのだから、生まれた国が嫌なら出て行けばいいという人もいますが、そのような考え方は多数派の暴力だと思います。
 今は激動の世の中ですが、相変わらず行政文書の改ざんだの、貴乃花の処分だのしかテレビでやらない日本という国は、きっと平和なんだろうなと思われます。
 以下は、判決の一部抜粋です。

 国家保安法第7条第5項に規定されている「頒布行為」とは夷狄表現物を不特定または多数人に配布して知得できる状態におくことをいう。一方、幇助は正犯が犯行をすることを知りながらその実行行為を容易にする従犯の行為なので、従犯は正犯の実行を幇助するという幇助の故意と正犯の行為が構成要件に該当する点に対する正犯の故意がなければならない。
 原審は、その判示のような事情を総合し、本件169個の掲示物は「わが民族だけ」ツイッターアカウントで作成されたツイートの文字で、被告人が上のアカウントをフォローした状態で維持したことだけでは上の掲示物が被告人のツイッターアカウントのみに掲示されるのみで被告人のアカウントをフォローする第三者のツイッターアカウントに掲示されないので、他に被告人が上の掲示物をリツイートするなどによって上の第三者のアカウントに掲示されるようにしたという事情がない以上、被告人が「わが民族だけ」ツイッターアカウントをフォローした状態を維持したことのみでは本件169個の掲示物を頒布したといはいえないと判断した。さらに原審はその判示のような理由で被告人が「わが民族だけ」ツイッターアカウントの運営者の夷狄表現物の頒布行為を幇助する犯意で上のアカウントをフォローしたとはいいがたいと判断した。
 原審は、その判示のような事情を総合し、「わが民族だけ」ツイッターアカウントは北朝鮮が運営及び管理する対韓国宣伝用アカウントなので、被告人が上のアカウントをフォローした状態を維持したことのみでは上のアカウントに掲示された本件169個の掲示物を管理していたといい難く、他に被告人が上の掲示物を出力または貯蔵するなどの方式で所持したことが認められないと判断した。
 原審判決の理由を関連法律と記録に照らしてみると、原審の上のような判断は正当で、これに上告理由の主張のような論理と経験の法則を違反して自由心証主義の限界を超えたり、国家保安法第7条第5項で定める夷的表現物の所持に関する法理を誤解した違法はない。

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