2018年3月16日金曜日

正式裁判で略式命令の罰金額を増額できるか(水原地方法院2018年2月19日)

 本件は窃盗で50万ウォンの略式命令を受けましたが、それを不服として正式裁判を請求したところ、正式裁判で罰金額が100万ウォンに増額されたものです。
 略式命令を不服として正式裁判を請求した場合に、罰金額を増額できるかどうかについては、日本では最高裁昭和31年7月5日決定で正式裁判は上訴に当たらないので刑事訴訟法402条に規定する不利益変更の禁止は適用されないとしているので、正式裁判で罰金額を増額できるだけでなく、懲役刑を選択することもできます。
 一方、韓国では2017年12月19日に刑事訴訟法が改正されて457条の2(刑種上向の禁止等)が追加され、正式裁判では略式命令より重い種類の刑を宣告することができないこと、正式裁判で略式命令よりも重い刑を宣告する場合には量刑の理由を明らかにすることが明文化されました。本件は、改正刑事訴訟法が適用されて罰金の額が増額された最初の事例のようです。
 以下は、判決の一部抜粋です。
 被告人は、2017年4月ごろ、他人の建造物に侵入して物を摂取した犯行により罰金70万ウォンの略式命令を受けてからすぐに包装紙の中の内容物を取り換える方法で再び本件窃盗の犯行を繰り返した。被告人は、特に身体に障害があったり、高齢の年齢でもなく、家や自動車を所有しているようであるなど、生計型犯行であるともいえないところ、このように大胆で巧妙な犯行を被害者と示談したという理由のみで善処し続けると窃盗の習癖が改善されないといえる。その他に被告人の年齢、性向および環境、本件犯行の経緯および結果、犯行後の状況などの記録や弁論に現れた量刑の条件となる諸般の事情を総合すると、罰金額(50万ウォン)はかなり軽いといえるので、これを増額して主文のように刑を定める。

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