2018年3月15日木曜日

給与未払いに対して罰金が命じられた事例(釜山地方法院2018年1月25日判決)

 本件は、会社の経営者が知人の紹介で入社した者に対し、「会社に仕事のやり方を学びにきただけ」、「会社に利益が出たら一部を支払うという約束をした」として労働者に当たらないので給与を支払わなかったと主張したのに対し、労働者に当たるとして労働基準法違反で200万ウォンの罰金が命じられた事例です。
 僕も韓国の会社で働いていたときに、4ヶ月分の給与が未払いのまま会社が休業してしまったことがありました。就業ビザの問題があったので別の会社に転職するのも容易でなく、そのうち払ってくれることを期待してずるずると給与をもらえないまま働いていました。その後、他の会社に就職することができたので韓国生活を続けることができましたが、未払いの給与は結局もらえないままでした。
 こんなときに弁護士の知り合いがいたら、もっとよい解決方法があったかもしれないと思ったのが、弁護士になろうと思ったきっかけの1つになりました。
 以下は、判決の一部抜粋です。

 Aは2015年6月ごろ、父の知人の紹介で本件会社で仕事を学ぶために賃金を支払わない条件で3ヶ月程度業務を補助していたが、2015年9月ごろ、他の職場に就職するために上の会社を辞めた。
 その後、被告人は2015年11月ごろ、Aにもう一度本件会社に出勤しないかと誘いながら、「すぐにお金を払える状況ではないが、会社に収益が発生したら、その一部を支払う」という趣旨で話をし、その後Aが上の会社に再び勤務する間にも数回にわたって同じ趣旨の話をした。
 これにAは2015年11月2日ごろからチームリーダーの肩書で上の会社に毎週月曜日から金曜日まで5日間毎日午前10時から午後6時まで勤務しながら、上の会社の取締役らの指示を受けて取引先、開発者などと連絡してコンピュータを管理するなどの業務を処理した。
 被告人は、Bをとおして2015年11月17日ごろ、Aとの間で月給120万ウォンの労働契約書を作成し、同じ時期に雇用保険など4大保険にAを本件会社の労働者として加入させた。
 Aは2016年8月ごろ、被告人が8000万ウォン相当の追加融資を受けてもこれを隠して自分にお金を払わないという理由で、2016年8月8日ごろ、本件会社を退職し、同日、釜山地方雇用労働庁に被告人が賃金を支払わないという内容の陳情書を提出した。
 上のような事情および被告人がAに給与を支払わないと明示的に言わないまま、「収益が発生したらその一部を支払う」という趣旨の話をしたことは、労働対価の支払いを遅らせるものと解釈されるのみで、収益が発生しない場合には対価を支払わないなどの事業の成否に対する責任を分担しなければならないことを告知したものとはいえず、このような発言によってAとの間にそのような内容の合意が成立したともいえない点を考慮すると、Aは賃金を目的に従属的な関係で被告人に労働を提供していたとみるのが妥当なので、Aは労働基準法上の労働者に該当する。

0 件のコメント:

コメントを投稿