2018年5月28日月曜日

私有地を通らせないことが往来妨害罪になるか(仁川地方法院2018年5月10日〕

 本件は私有地を通らせないようにフェンスを設置した行為に対して、往来妨害罪が成立するとして罰金200万ウォンを命じたものです。
 これに対し、弁護人はフェンスを立てた土地は被告人が所有する私有地であり、他に通る道があるのだから往来妨害罪は成立しないと主張しましたが、問題となった土地が明日アルトで舗装された道路であり、長い間周辺の住民が道路として使用していたことを根拠として往来妨害罪の成立を認めました。
 私有地なのに通ると便利だからという理由で近所の人が勝手に通っているということは珍しいことではなく、そのような場合でも通行量が少なければ所有者もとやかく言わないのですが、開発などが進んで住人が増えて通行量が多くなると私有地だからという理由で通行止めにし、近所の人とトラブルになることがあります。
 原則としては土地の所有者は所有権に基づいて勝手に通行できないようにすることができるので、近所の人が慣習的に道路として使っているというだけでは通行止めができないようにすることはできませんが、本件は道路がアスファルトで舗装されているということで何らかの道路として指定されている可能性があり、そうすると私有地だという理由で通行止めにすることはできないと考えられます。
 以下は、判示の一部抜粋です。
 被告人と弁護人は、被告人が鉄筋構造のフェンスを設置した本件土地が個人私有地で、公道に出入りすることができる他の道路が存在するので、これは「陸路」に該当せず、一般交通妨害罪が成立しないという趣旨の主張をしている。刑法第185条の一般交通妨害罪は一般公衆の交通の安全を保護法益とする犯罪で、ここで「陸路」というのは一般公衆の往来に共用されている場所、すなわち特定人に限らず不特定多数人または車馬が自由に通行できる公共性をもつ場所をいい、陸路と認められる以上その敷地の所有関係や通行権利関係または通行人の多少を問わない。検事が提出した証拠を総合すると、被告人が鉄筋構造物のフェンスを設置した土地はたとえ個人の私有地であるとしてもアスファルトで舗装された道路であって、長い間周辺の住民が通行路として利用してきた事実が認められるところ、そうであれば本件土地は「不特定多数人または車馬が自由に通行できる公共性をもった場所」として刑法第185条の「陸路」に該当するというのが妥当である。

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