2018年5月9日水曜日

有料道路のゲートを不正に通過した事件(仁川地方法院2018年5月1日判決)

 本件は、有料道路のゲートをハイパス(日本のETCカードに該当)を使わずに不正に通過したことが、便宜施設不正利用罪に当たるとして有罪になった事例です。
 日本でも同じですが、機械を誤作動させて財産上の利益を得る行為は、機械は錯誤に陥ることがないという理由で詐欺罪が成立せず、自動販売機から商品を無料で持っていくなど窃盗罪に当たる場合でなければ刑法犯にはなりませんでした。
 人をだますのも機械を誤作動させるのも同じ犯罪であるという観点から、日本では電子計算機使用詐欺、韓国ではコンピュータ等使用詐欺と便宜施設不正利用という罪が刑法に追加されました。
 日本の場合はコンピュータを誤作動させた場合にのみ刑法が適用されるので、例えば、有料道路のゲートを前の車にくっついて通過した場合などはコンピュータを誤作動させたわけではないので電子計算機使用詐欺に当たりません。韓国ではこのような場合も刑法で処罰できるように便宜施設不正利用という罪も創設しました。
 なお、日本では有料道路のゲートを不正に通過して料金を支払わずに有料道路を通過した場合は道路整備特別措置法第24条第3項後段、第59条により30万以下の罰金となります。
 以下は、判示の一部抜粋です。
 誰であっても不正な方法で対価を支払わずに自動販売機、公衆電話その他有料自動設備を利用して財物または財産上の利益を取得してはならない。
 それにもかかわらず、被告人は2016年5月15日ごろ仁川以下不詳地にある被害者韓国道路公社が管理する有料通行区間でハイパス端末機を設置しない状態で乗用車を運転して料金所を通過する方法で900ウォン相当の財産上の利益を取得したことをはじめとして、別紙犯罪一覧表記載のようにその頃から2017年7月6日までの間に803回にわたって上のような方法で通行料を合計908,440ウォン相当を支払わないことによって同額相当の財産上の利益を取得した。

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