2018年1月12日金曜日

上場例外品目の指定が行政処分に該当するか(ソウル行政法院2017年12月8日判決)

 本件は、農水産物卸売市場の開設者が、仲買人が卸売市場法人を通さずに取引ができる上場例外品目として輸入ニンジンを指定したのに対し、卸売市場法人がその指定を行政処分として取消訴訟を提起したものです。
 仲買人がある品目を卸売市場法人を通さずに取引しようとするときは、その品目について許可を得なければなりませんが、それぞれの仲買人に対してどの品目を許可するかという手続を取るのが大変なので、品目を一括で指定して、その品目については当然に許可をするという制度になっていることから、一括で指定する行為も行政処分に当たるとしました。
 また、上場例外品目の許可を得るのは仲買人であり、卸売市場法人は許可の相手方ではありませんが、上場例外品目に指定されると卸売市場法人を通さずに取引が可能であり、手数料を得ることができなくなるので、利害関係人であるとして原告適格を認めました。
 日本で個別の処分ではなく、一括で指定した行為を行政処分と認めたものは、2項道路の一括指定を行政処分と認めた判例(最判2002年1月17日〕がありますが、これは処分の不存在の確認を求めたもので、一括指定の全部を取り消そうとしたものではなく、一括で指定した処分の中に自分の土地が含まれていないことの確認をしようとしたもので、本件とは事案をことにしています。
 最高裁の判例によれば、一括指定は個別の処分の集合的なものと理解することができるので、本件もそれぞれの仲買人に対する許可の集合的なものとし、それぞれの許可に対して取消訴訟を行うのと同じように一括指定に対して取消訴訟を行うことができると解釈したと思われます。
 以下は、判決の一部抜粋です。

 被告は、被告が行った本件処分は施行規則第27条第2文による許可に先立ち輸入ニンジンを上場例外品目に指定したもので、それ自体で原告らないし仲買人に法的地位を設定するものではなく、上場例外取引許可処分の前段階の行政手続きに過ぎないので処分性が認められず、もし処分性が認められるとしても本件処分は仲買人に上場例外取引を可能にする手続的段階なので原告らは処分の相手方でもなく、法律的利害関係がなく、原告適格が認められないと主張する。
 しかし、農水産物流通法第31条第2項、施行規則第27条の規定によれば、農水産物卸売市場の仲買人は原則的に卸売市場法人が上場した農水産物以外の農水産物は取引することができず、ただ卸売市場の開設者からその品目と期間を定めて許可された場合に限って例外的に上場例外品目を取引することができるので、卸売市場の開設者が市場管理運営委員会の審議を経て一定の要件を備えた品目を上場例外品目として指定し、仲買人が被告または参加人にその上場例外品目に対する取引許可を申請する手続を経て上場例外品目の取引がなされる。
 このように上場例外品目の指定は仲買人に対する個別の上場例外品目の取引許可に先立ってなされるものであるところ、仲買人に対する個別の上場例外品目の取引許可を1つ1つ争うようにするより、その前段階である上場例外品目指定行為を争うようにすることが迅速な権利救済および法律関係の速やかな確定のためにも望ましいといえ、他に上場例外品目の指定を争うことができる不服方法がないので、原告らとしては本件処分の取り消しを求める抗告訴訟を提起することが有効、適切な手段に該当するといえる。
 また、卸売市場の開設者の上場例外品目指定行為があれば従前には卸売市場法人を通した上場取引のみ可能だった品目についてそれ以降に非上場取引が可能になることが知られているが、上場取引のみでき、その上場取引を通した手数料などを受け取って利益を得る原告らのような卸売市場法人としては本件処分に関して直接的で具体的な利害関係をもつというのが相当で、そのような利害関係を単純な間接的、事実上の利害関係に過ぎないとはいいがたい。

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