2018年1月16日火曜日

弁護士試験管理委員会の会議録の提出義務について(大法院2017年12月28日決定)

 本件は、弁護士試験に不合格した原告が不合格処分の取り消しを求めた訴訟の中で、弁護士試験管理委員会の会議録について文書提出命令を申請したのに対し、裁判所が会議録の一部について文書提出を命じたものです。
 行政に対して情報公開をした場合は文書の全部を公開しなければなりませんが、裁判の文書提出命令は書証として利用するために文書の提出を求めるものなので、裁判所は必要な部分だけを提出するように求めることができます。
 判決の内容自体は重要なものではないのですが、弁護士試験の不合格処分の取り消しを求めるために裁判をする時間があるなら、その時間に勉強すればいいのにと思った次第です。裁判をすることは実地訓練になるから、それはそれでいいのかもしれません。
 以下は、判決を翻訳したものです。
1、本件文書などが民事訴訟法第334条によって文書提出義務が認められるか

 民事訴訟法第344条は、「文書の提出義務」に関して定めているが、第1項第1号は当事者が訴訟で引用した文書(以下、「引用文書」という)を持っているときには文書を持っている者はその提出を拒否できないと定めている。第2項は、第1項の場合以外でも文書の提出義務が認められる事由を定めるが、「公務員または公務員であった者がその職務と関連して保管したり所持している文書」については、第2項による文書提出義務の対象から除外している。
 民事訴訟法第344条第1項第1号で定めている引用文書は当事者が訴訟で文書それ自体を証拠として引用した場合だけでなく、自分の主張を明白にするため積極的に文書の存在と内容を言及して自分の主張の根拠や補助資料とする文書も含む。また、上の条項の引用文書に該当すると、それが同条第2項で定めている「公務員がその職務と関連して保管したり所持している文書」であっても特別な事情がない限り文書提出義務を免れない。
 原審は、申請趣旨記載の会議録の一部に該当する①2013年4月26日付会議録のうち第3回弁護士試験の合格率を決定した部分、②2014年4月8日付会議録のうち第3回弁護士試験の合格者決定基準を定めた部分とこの時に考慮した要素を知ることができる部分(以下、「本件文書」という)のみが民事訴訟法第344条第1項第1号の引用文書に該当し、その他の部分は被申請人が職務上保有、管理する公文書なので民事訴訟法第344条第2項によってもその提出義務が認められないと判断した。このような前提で原審は申請人の申請のうち本件文書に関する部分のみを引用し、これと異なる第1審判決を変更した。
 原審の判断は上の法理によるもので、裁判に影響を及ぼす憲法、法律、命令、規則違反などの過ちはない。

2 公共機関の情報公開に関する法律による非公開対象情報も文書提出義務のたいしょうになるか
 民事訴訟法第344条第1項第1号の文言、内容、体系と立法目的などに照らしてみると、引用文書が公務員がその職務と関連して保管したり所持している文書であって、公共機関の情報公開に関する法律第9条で定めている非公開対象情報に該当するとしても、特別な事情がない限り、それに関する文書提出義務を免れない。
 原審は、本件文書は引用文書であるが、被申請人の弁護士試験と関連した業務の公正な遂行を顕著に支障をもたらすと認めるだけの理由がある部分に該当しないという前提でその提出を命じた。
 上の法理に照らしてみると、被申請人が提出した資料のみで引用文書に該当する本件文書の提出を拒否する特別な事情があるとはいいがたい。同じ趣旨で判断した原審の決定に裁判に影響を及ぼす憲法、法律、命令、規則違反などの過ちはない。

3 文書提出命令の認定範囲
 文書を持つ者にそれを提出するように命じることを申請することは、書証を申請する方式のうちの1つである(民事訴訟法第343条)。裁判所は、その提出命令申請の対象になる文書が書証として必要かどうかを判断し、民事訴訟法第290条本文によってその申請の採択の可否を決定することができる。
 上の法理に照らしてみると、原審が申請趣旨記載の会議録の一部である本件文書を提出するようにしながら、残りの部分を棄却した措置は正当なものとして首肯できる。原審の判断に裁判に影響を及ぼす憲法、法律、命令、規則違反などの過ちはない。

4 結論
 申請人と被申請人の再抗告は理由がないので、これをすべて棄却し、大法官の一致した意見として主文のように決定する。

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