2018年2月21日水曜日

飲酒運転の取り締まりで「焼酎でうがいした」という主張が認められるか(議政府地方法院2018年1月17日判決)

 本件は、血中アルコール濃度が0.129%と酔った状態で車を運転したという理由で運転免許を取り消した処分に対し、原告が歯の治療のために民間療法として焼酎うがいをしていたが、飲酒運転取締まりの直前に焼酎うがいをしていたため呼吸測定器に引っかかったと主張して免許取消処分の取消訴訟を提起したものです。
 焼酎うがいは聞いたことがなかったのですが、アルコールで口の中を消毒するための焼酎を口の中に含むという民間療法のようです。焼酎うがいをしたからアルコールが検出されたというのは、言い訳のようにしか聞こえないのですが、その後、病院で採血して血中アルコール濃度を測ったところ0.01%未満となったので、原告の主張が認められました。
 なお、韓国では飲酒運転の基準は血中アルコール濃度によるので呼吸測定に不満がある場合は採血を求めることができるのに対し、日本では血中アルコール濃度だけでなく呼気中アルコール濃度によっても飲酒運転になるという違いがあります。
 以下は、判決の一部抜粋です。

 上の証拠によれば、原告は2017年4月22日20時55分、飲酒運転の取締まりを受け、口の中を水でゆすいだ後、同日21時2分、呼吸測定器で測定した結果、血中アルコール濃度が0.129%と出た事実、原告は当時、担当警察官に自分が焼酎うがいをしたと陳述したが、採血測定を要求しなかった事実、原告は同日22時ごろ、交番を訪れて自分が飲酒運転の取締まりの現場では慌てていて判断を誤り、採血測定を要求しなかったが納得がいかないので今採決をしてほしいと主張したが警察官は現場測定後30分以内に採血しなければならないと拒絶し、これをめぐって争ったが、結局、同日23時34分、警察官が立ち会って病院で採決をした事実、国立科学捜査研究所は2017年4月27日、原告から採取した血液からは血中アルコール濃度は0.010%未満であるという鑑定結果を伝えた事実が認められる。
 一方、この病院が2017年12月6日14時15分ごろに試行した鑑定結果によれば、原告に1次に呼吸測定器の測定をしたときは血中アルコール濃度が0.000%と出て、原告が本件飲酒取締まり当時にうがいをしたという焼酎で5分間うがいをさせた後、水で口をゆすいでから2次に測定した結果、血中アルコール濃度が0.360%と出て、直ちに再び水で口をゆすいでから3次測定をした結果、0.097%が出た事実、原告は口中で歯の詰め物をしている事実が認められる。
 事情がこのようであれば、もし原告が呼吸測定機による飲酒運転取締まり後に警察官の目を盗んで血中アルコール濃度を下げるための特別な努力をしたとしても、そのような努力が可能な時間は警察官が原告に対する飲酒運転取締まりを終了した21時2分から原告が交番を訪れた22時ごろまでの約1時間程度に過ぎず、上の時間に何らかの特別な措置を取ることは難しかったといえ、一般的に血中アルコール濃度は飲酒後30分~90分の間に上昇して血中最高濃度に達した後、1時間当たり0.008%~0.03%ずつ減少することが知られているので、原告が呼吸測定器による飲酒運転取締まりを終了した21時2分ごろから採血した時点である23時34分ごろまでの約2時間半程度に血中アルコール濃度の減少量は0.02%~0.075%に過ぎず、もし原告に対する飲酒運転取締まり当時の呼吸測定機に出ていた数値が本当の血液内のアルコール濃度の数値を反映したものであれば、採血測定による血中アルコール濃度の数値は0.109%~0.054%程度が出なければならず、0.01%未満と出ることは不可能である。したがって、本件飲酒運転取締まりで出た数値は原告の主張のように焼酎うがいによって口中(特に詰め物の隙間)に残っていたアルコールが呼吸測定器に感知されたものといえ、その数値が血液内のアルコール濃度といえないので、上の呼吸測定器の数値に基づいた本件処分は違法である。

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