2017年10月31日火曜日

無罪とされた教師の性的暴行を有罪と判断した判決(大法院2017年7月18日)

 原審で故意が認定できないとして無罪と判断したのに対し、大法院で有罪と判断した判例です。以下は、大法院が被告人の行為が性的暴行にあたると判断した部分です。
 被告人と被害者らの性別、年齢及び被告人と被害者らとの関係、被告人が行為に至った経緯、具体的な行為態様、被告に野行為が被害者らに及ぼした影響などを上に見た法理に照らしてみると、たとえ被告人が教務室、教室、廊下など開放された空間で学生らと親密感を高めようという意図で上のような行為をしたと主張したとしても、身体的に成熟した15歳ないし16歳の女学生である被害者らの腰の部位に手を回したり、おしりの上部分をつついたり、手を握って触ったり、手の甲をなでたりなどの行為は客観的に親しい関係を重ねるための行為といいがたく、一般人に羞恥心や嫌悪感を生じさせ、善良な性的道徳観に反する行為として被害者らの性的自由を侵害するものと評価することができる。

 これを見ると、大法院は青少年の保護のために性的暴行を広くみとめようとしているようです。これに対し、原審は「被告人の行為が性的暴行に該当するという認識がないまま身体接触を通して親密感と連帯感を高めようという被告人の教育哲学から始まった可能性を排除できないであるとか、被告人が接触した被害者らの身体部位である手、手首、腕などが社会通念上性的に敏感な身体部位であるとはいいがたいなどの判示のような理由を挙げて被告人の身体接触行為が児童・青少年の性保護に関する法律上の『性的暴行』に該当したり、被告人にそのような故意があったことを認定する証拠がないと認定し、この事件の各公訴事実をすべて有罪と判断した第1審判決を破棄し、無罪を宣告した」そうで、刑事上の責任が問われる程度ではないと考えたようです。
 判決文だけでは分からないことがあるのでしょうが、民事上の責任とは異なり、刑事上の責任を問う場合は、青少年の保護という必要性があるとしても、厳格に判断するほうがよいのではないかと思いました。

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