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2017年11月22日水曜日

オレオレ詐欺の「出し子」に詐欺の故意が認められず無罪とされた事例(大邱地方法院2017年10月26日)

 最近の特殊詐欺は分業化され、所謂「出し子」のような末端組織は言われたとおりにお金を引き出すだけであり、犯罪の片棒を担いているという意識がないことがあります。
 本件は、検察官は特殊詐欺の手口はよく知られており「もしかしたら特殊詐欺の片棒を担がされているのかもしれない」という疑いがあったのであれば、詐欺ほう助罪の故意があるとして起訴しましたが、裁判官は「身元を隠そうとしていないのは自分が犯罪を行っているという意識がないから」とし、無罪としました。
 裁判官は「出し子」もお金が必要な状況を利用されて道具にされた被害者なので処罰をすべきでないという意識があったのかもしれませんが、あまり深く考えない人ほど犯罪の意識がないと判断され、犯罪の故意が認められなくなるという結論には疑問があります。
 以下は、判決文の一部抜粋です。

2017年11月16日木曜日

宗教行為と詐欺罪(大法院2017年11月9日判決)

 家族の病気を治すためには祈祷をする必要があるとして1億ウォンの祈祷費を受け取った行為が詐欺罪に該当するとした判例です。
 日本では、祈祷師が効果がないことを知りながら祈祷料を交付させた行為が詐欺罪にあたるとした判例(最高裁1956年11月20日判決)や、宗教的行為の成果が客観的に証明できないからといって勧誘行為が違法であるとはいえないが、相手方の窮迫、軽率などに乗じて不安、恐怖心をあおるなど不相当な方法でなされて相手方の正常な判断が妨げられた状態で著しく過大な献金がなされた場合は不法行為に該当するとした裁判例(神戸地裁1995年7月25日判決)などがありますが、宗教と詐欺の限界を判断するのはなかなか困難なところがあると思います。
 以下は、判決の一部抜粋です。

2017年11月10日金曜日

社長が自分の会社を騙すことができるか(大法院2017年8月29日判決)

 この事件は、法人の代表者が研究員に人件費を支払うように装って法人から金銭を引き出したことに対し、検察は法人を欺罔したとして詐欺罪で起訴したところ、裁判所は法人を欺罔するとは法人の代表者をだますことであり、法人の代表者本人が法人の代表者をだますことはできないので詐欺罪は成立しないとしたものです。
 当然といえば当然の結論ですが、では、本来研究員に支払うべきお金を自分のものにしてしまった行為はどのような罪になるのでしょうか。
 本件では、研究員が支払われたお金をそのまま被告人に渡すように約束させられていたようで、一旦は研究員にお金が支払われているので横領罪の成立は難しそうです。
 ただ、この人件費は産学協力団からの補助金なので、今後、法人が産学協力団に補助金を返還をしなければならなくなるとすると補助金相当額の損害が法人に発生するので、背任罪が成立するのかなと思いました。
 以下は、詐欺罪が成立しないとする部分の要約です。