本件は、電子ファイルの状態で作成された売上記録を変造して脱税したとされた裁判において、問題となった売上記録を証拠として裁判所に提出する際に紙にプリントアウトして提出しましたが、このプリントアウトされた売上記録の内容と、USBに保存されている電子ファイルの内容が同じものであるかどうかが問題となりました。
USBに保存されている電子ファイルの内容とプリントアウトされたものが同じ内容でないとすると、裁判所に提出された紙の記録は証拠にならないことになりますが、これらが同じものであるということは検察に証明責任があります。本件では、検察の証明が十分でないとして裁判所に提出された紙の記録に証拠能力がないとし、有罪を認めていた原審に差し戻しを命じました。
電子ファイルの状態のものを紙にプリントアウトしたときに、そのプリントアウトされたものが電子ファイルの写しなのか、紙にプリントアウトされたものが原本なのかという問題もあり、そもそも電子ファイルとは何なのかという根本的なところから考えなければなりません。もっとも、原本は手書きで写しも手書きしかなかった頃は、原本と写しは明らかに区別することができましたが、原本をワープロで作成して写しをコピー機で作成すると、原本と写しを区別することができません。原本と写しの区別をすること自体が時代に合わなくなっているのかもしれません。
以下は、判示の一部抜粋です。